目視検査の自動化なんて辞めちまえよ
◼︎外観目視検査の自動化前によく考えて
目視検査を自動化しようと考えているなら、もう一度 考え直して下さい。
今の体制をそのまま自動化できませんよ!
過剰品質気味の保証体制を見直し、must検査は何なのか、want検査は何なのか、テスト機での試験はもちろんのこと、目視検査レベルで突き詰める必要があります。自動化基準向けの体制の目処なく設備導入したら、こんな筈ではなかった、、、と後悔する事に。先ずはテスト機の導入で実証をする。社外任せではなく、社内で実施しなければなりません。外観検査の自動化の本質は、設備導入後の運用や保証に関わるノウハウ育成が9割を占めます。金積んで達成出来る事ではないのです。
安易に考えているのであれば、今の目視体制が楽なので断念をお勧めします。
◼︎欠陥検出の例
直径10mm金属円柱の円弧面上にある、欠陥(φ0.1mm以上、深さ0.05mm以上の凹み)をカメラで捉えて選別する。
欠陥の断面図はこんな感じ。
顕微鏡などで、観察すると参考になります。
◼︎撮像環境を作ろう
照明の当て方とカメラの位置関係を工夫して、欠陥を最もよく見える様に環境を整える必要があります。絵取り9割なのです。そもそも生データに映らないものは画像処理出来ません。
欠陥の開口部から覗いている反射面にたくさん光を当てて、その反射光をカメラでしっかりと撮像できる位置関係を探します。(欠陥の開口部が最も暗くなる様に合わせる事もあります)傷が最もよく見える撮像環境が出来きました。撮像した欠陥は 上図の様にレ点形状です。
最初は同じ1つのサンプルで設定します。
レ点形状サンプルバッチリ!
この撮像環境を定点観測点として行きましょう。
それでは次のサンプル。
先ほどと全く同じ形で対象形状。
逆レ点形状と呼びます。
形も大きさも同じなのに、定点観測カメラから見た反射有利面は暗く見えるかもしれませんし、場合によっては小さく見えるかもしれません。
実際の欠陥は360度全方向にレ点形状が、展開する可能性があり、さらに複雑です。
対策は、照明を追加したり、反射板で工夫したり、とにかく生の絵を綺麗に撮れる様、頑張ります。
検査対象の品種が増える度に、同じ様な事を繰り返します。
◼︎カメラでの撮像は写真判定の域を出ない
傷そっくりの絵が書いてあれば、傷にしか見えません。写真判定を使った画像検査は、地合いの影響をモロに受けます。影響は可検出として現れます。
◼︎撮像環境まとめ
搬送技術、撮像技術、画像処理技術の3つを駆使しなければ、欠陥検出の自動化は出来ません。目的達成には、気の遠くなる積み上げ作業が必要です。今回は、撮像環境を作る様子に触れて見ました。要望があれば、掘り下げたいと思います。
◼︎人が検査したら
指で摘んで、色んな角度から見て ハイお終い!
レ点がどうこうなど そんなこと考える必要もなく。自動化設備に同じ事をさせようとしたら、億越えでも不足です。
10万円もしない拡大鏡で事足りる目視検査とどちらが良いですか?